ファブレス企業
簡単なまとめ
ファブレス企業とは、自社の製造ラインを持たず、研究・開発(R&D)に特化している企業。
代表例が米Apple社。
- 工場への投資が不要→コストダウンが可能
- 委託生産によるスケールメリット
- 開発に専念できる
- モデルチェンジや市場の変化への対応が容易
などのメリットがある。
ファブレス企業
fabrication facility =「工場」をless =「持たない」企業のことです。
代表的なものに米Appleがあります。
メリットとして、
- 工場への投資が不要→コストダウンが可能
- 委託生産によるスケールメリット
- 開発に専念できる
- モデルチェンジや市場の変化への対応が容易
等があります。
細かいことを言うと、ファブレス企業は量産のための工場を所有していないだけで、試作品を作る工場くらいは持っていることが多いです。開発段階で試作品を作る必要があるためです。
米Appleの例
Apple社はMacbook、iPhone、Apple watchなど様々な端末を販売しており、一見これらの製品を作っていると思われがちですが、実はApple社はこれらの端末を一切作っていません。皆さんが今手にしているiPhoneは、Appleの手を一切介さずに製造されているのです。
iPhoneを買った時の箱、まだ持ってますか? 持っていたら、その箱の裏面上部を見てみて下さい。
“Designed by Apple in California”
“Assembled in China”
と書いてあります。
「カリフォルニアのApple社でデザイン(設計)され」
「中国で組み立てられた」
つまり、Apple社はデザインしているだけで製造はしてないよ、ということです。
さらに言うと、中国は組み立てをしているだけで、部品は世界中から集められています。
こちらの記事を見てみると、中国、韓国、台湾、日本をはじめとした世界各国から部品が調達されていることがわかります。
つまり、Apple社は、
このような流れでiPhoneを製造し、出来上がった商品を販売しているわけです。
だから、Apple社は設計・開発こそすれ、工場を持たず、製造の一切を外注しているため、ファブレス企業と呼ばれるのです。
メリット
冒頭で、以下のようなメリットがあると述べました。
- 工場への投資が不要→コストダウンが可能
- 委託生産によるスケールメリット
- 開発に専念できる
- モデルチェンジや市場の変化への対応が容易
一つずつ解説していきましょう。
工場への投資が不要→コストダウンが可能
工場を建てなくてもいいので、その分の初期投資を抑えることができます。
特に、Apple社のような半導体を扱う企業はこのメリットが非常に大きくなります。半導体製造工場の建設には莫大な費用がかかるからです。
委託生産によるスケールメリット
生産を受注する企業(=実際に部品を製造する企業)は、複数の企業から部品の生産を請け負っています。
そのため、どでかい超巨大な工場をバーンと一か所建てて、そこでいろんな部品を製造すればいいわけです。この方が、小さい工場を何か所も建てるより効率的に建設・操業できます。
また、いろんな製品に使える共通の部品があれば、それも一か所でまとめて生産した方が効率がいいですよね。
開発に専念できる
自社で製造ラインを持たなければ、自社で抱えるべき人材や設備は開発に必要なものだけになります。
企業にとって、従業員や設備(工場など)は、持っているだけでリスクであり負担であるという見方も存在します。
自社で工場を持っていたらどうでしょう。
工場で例えば労働者がストライキを起こした。賃上げ交渉に応じなければならない。ストで生産が止まった分の損害は自社に降りかかってくる。 地震で工場が壊れてしまった。これも全部自社の損害になります。
これが、生産を外注していたらどうでしょう。
工場がないので、労働者を養わなくてよい。面倒な労働争議も起きない。 自然災害で外注先の工場が壊れても関係ありません。だって他社の設備なんだから。製造できなくなった分は別の会社に製造をお願いすればよいだけです。
資産を持たないというのは、リスクヘッジにも有効なんです。
モデルチェンジや市場の変化への対応が容易
これも大きなメリットです。
まず、研究開発(R&D)にリソースを全集中できるため、新製品を次々と開発することができます。
また、モデルチェンジをするためには製造ラインをいじらなくてはいけません。これにも費用が掛かります。
それに市場が変化し、これまで高かった需要が急に落ち込むこともあります。フィルムカメラ、ウォークマン等がいい例でしょうか。せっかくお金をかけて作った設備が無駄になってしまうこともあるんです。
自社工場がなければこんな問題は起きません。虫のいい話ではありますが…