便宜置籍船
簡単なまとめ
税その他のコスト上その他便宜上の理由で、船主所在国とは別の国に船籍を置いている船舶のこと。
パナマ、リベリア、マーシャル諸島などに船籍を置いている場合が多い。
実際には、ギリシャ、中国、日本が保有している船舶が多く、船籍と実態は大きく異なることがわかる。
船籍
船籍とは
船籍とは、その船がどこの国に登録されているかを表すものです。
船は建造されると、必ずどこかの国に登録する必要があります。というのも、船は国際法上人に似た扱いで、人は産まれると必ずどこかの国の国籍を取得するのと同様、船も建造されると必ず船籍を得ます。
しかし、どこの国に登録するかは比較的自由で、あまり制限が厳しくありません。
ですから、日本で建造して日本国内だけで使用する船だとしても、外国船籍を登録することも可能なのです。
船籍登録国
(データブック・オブ・ザ・ワールドより)
実際には、海運業が未発達な国への船籍登録が多数です。
これは、実際に多くの船が船籍国によって運用されているわけではなく、パナマやリベリアなどの国に登録しておくと税その他の費用が安くなるためです。
このように、関係のない国に便宜上船籍を置いている船を便宜置籍船、船籍を置いている国を便宜置籍国といいます。
船主
船主とは
船主とは船の持ち主のことで、船籍とは別に、船の持ち主がどの国にいるかに注目します。
これによって、実際に海運が盛んな国はどこかの実態が把握できます。
船の持ち主は大抵の場合海運会社で、日本で有名なものだと日本郵船や川崎汽船、商船三井などがあります。
したがって、船主がどこにいるのか、その船主がどのくらい船を保有しているかが分かれば、実際の海運業界の情勢がわかるというわけです。
船主所在国
(データブック・オブ・ザ・ワールドより)
各国の船主が保有する船舶の総トン数の割合を示したものです。
ギリシャ、中国、日本で特に海運が盛んなことがわかります。つい数年前までは日本が2位でしたが、中国が猛烈に追い上げてきて抜かれてしまいました。