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源氏物語の和歌で古典力アップ!「須磨①」


源氏物語「須磨」の和歌で古典力アップ!

大河ドラマ「光る君へ」で人気沸騰中の『源氏物語』、皆さん全部読んだことありますか?

54帖とかな〜り長い物語なので、一部しか知らない人も多いのでは?

この解説シリーズでは、『源氏物語』に出てくる和歌だけに絞って、単語力の強化や『源氏物語』を読んだ気になれるような解説を行っています。

「須磨」の巻の概要について

12.jpg 出典:国立国会図書館「NDLイメージバンク」

光源氏:26~27歳の頃の話

あらすじ:源氏は、春までは都に滞在していたが、政界追放をなされ、須磨へ自主的に退去した。須磨は侘しさが募った場所であり、其の地で文通市都の女性を思った。都でも源氏のことを偲ぶ人も多く、琴や絵などをするうちに秋冬が過ぎていった。そこで奇妙な夢を見る。

では、早速和歌を通して単語を押さえていきましょう!

小説風の現代語訳は、全て林望『謹訳源氏物語』から引用しています。

鳥辺山 燃えし煙も まがふやと 海人の塩焼く 浦見にぞ行く

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  • ****:

[現代語訳] 鳥部山に、ああして燃えていた茶毘のに、似ていはせぬかと思って、別れの恨みを晴らしにと、海士どもが塩を嫌くの立つ浦見に参ります

亡き人の 別れやいとど 隔たらむ 煙となりし 雲居ならでは

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  • ****:

[現代語訳] 亡き人との別れは、もっともっと遠く隔たったものになってしまうでしょう。娘が煙となって立ち昇ったのは都の空、あなたがこれから見上げるのは、はるか鄙の里の空でございますから

身はかくて さすらへぬとも 君があたり 去らぬ鏡の 影は離れじ

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  • ****:

[現代語訳] 私の身は、こうして遠くへさすらっていくけれど、あなたの身辺を去らぬ鏡に映った私の面影は、決してここを離れはすまい

別れても 影だにとまる ものならば 鏡を見ても 慰めてまし

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  • ****:

[現代語訳] お別れしても、その面影だけでもここに留まってくださるのなら、わたくしはせめてこの鏡を見て、みずからの心を慰めていましょう。でも…

月影の 宿れる袖は せばくとも とめても見ばや あかぬ光を

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  • ****:

[現代語訳] 月影が映っている私の袖の涙の海はこんなに狭いけれど、なんとかして沈まないように留めていつも見ていたい、見ても見てもこれでもう十分ということのない、この光る君を

行きめぐり つひにすむべき 月影の しばし雲らむ 空な眺めそ

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  • ****:

[現代語訳] この大空を行き巡っては、やがて澄むだろう月の光だ。 私も遠く行きめぐっては、やがてここに生むことになろうから、今こんなに曇っているからといって、空を眺めて物を思うのではないよ

逢ふ瀬なき 涙の河に 沈みしや 流るる澪の 初めなりけむ

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  • ****: [現代語訳] 貴方との逢瀬が果たせずに、浅瀬もないほど深い現の河に沈んでしまったのが、流れていく水脈(みお)を、私が流れていい身となった、その始まりだったのでしょうか

涙河 浮かぶ水泡も 消えぬべし 流れて後の 瀬をも待たずて

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  • ****: [現代語訳] この袖に流れる涙の河に浮かぶ水の泡のように、はかなく消えてしまう私の命でございましょう。この河が流れ流れての未の逢瀬をも待つことができずに…

見しはなく あるは悲しき 世の果てを 背きしかひも なくなくぞ経る

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  • ****: [現代語訳] ずっと逢い見て過ごした方はすでに亡く、こうして現世におられる方は、悲しい運命にさすらってゆかれる、この世の果て、わたくしはもうそんな世の果ては見たくもないので捨てた世でございましたが、その甲斐もなく、泣く泣く時が経ってまいります

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