日本文学史マスターへの道⑬『大和物語』
日本文学史マスターへの道
『大和物語』
〔大和物語(尾形月耕画)〕
『伊勢物語』は何物語でしたか〜?
“歌”物語です。
その系譜を引くのがこの『大和物語』
読んでみよう、調べてみようとは言いません。
学校で習う段だけでも十分かもしれません。
ただ、文学史上は外せない作品ですよ。
日本人なら知っておきたい文学作品!平安時代を代表する歌物語『大和物語』 なんてサイトを貼っておきますね。
興味があればぜひ!
筆者は、必死に和歌や歌物語を調査しています!
何か面白いことがあれば追記します!(笑)
《確認ポイント》
✔︎『伊勢物語』との対比
《書名》
『大和物語』
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『伊勢物語』に対してこのような呼び名になった説
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唐(中国)に対して大和(日本)の物語を集めた本という説
いろいろな説が言われている。
《作者》
未詳
いろいろな人物であろうかという説があり、
花山天皇・在原滋春・清原元輔などなど
他には、宇多天皇に仕えた女房達説まで、
果たしてどうなのか、、
《成立過程》
天暦5(951)年頃に原型ができ、増補されたと考えられている。
《表現》
簡潔で余情豊かな『伊勢物語』に対して、
何度も同じ表現が繰り返され、冗漫な印象がある。
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係助詞「なむ」が多用されており、
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実際の歌語り享受の場を想起させるため、
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口承文芸の本質を表す文章である。
◎歌語り
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和歌が詠まれた状況や作者のエピソードを口頭で語り伝えるもの
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口承文芸に近い
《構成》
173段からなる歌物語で、295首の和歌が含まれる。
歌語りが集められ記録されたとされる。
『伊勢物語』は在原業平の一代記の体裁を取っていたが、
『大和物語』は天皇・貴族・僧・女性など多くの人物が、また実在した人物が登場しており、主人公を特定しない。
内容は前後半に分けることができる。
前半(第1段〜142段)
宇多天皇周辺の人物中心の話
→恋・別れ・世の辛さなどの人生を嘆くものが多い
⇒登場人物は権力から疎外された風流を愛する人々
後半(第143段〜173段)
民間伝承されてきた説話的な話
→しみじみと心を打つ人間の純粋な愛情を描く
EX.生田川伝説・采女入水伝説・安積山伝説・竜田山伝説
*六歌仙時代の和歌にまつわる説話も多い。
《史的意義》
和歌に対する関心から、歌の読まれた状況・作者を語るという歌語りの本来的な姿を伝える作品である。
様々な逸話が語られるが、『後撰和歌集』時代の実在人物であるため、当時の貴族社会の噂や実態を知る貴重な資料。
後半の説話的部分は、中世以降の説話集や脳の材料にもなった。
ただし、『伊勢物語』に比べると叙情性で劣ってしまう。
《「大和物語」第1段》
亭子の帝、今はおりゐさせ給ひなむとするころ、
弘徽殿の壁に、伊勢の御の書きつけける、
別るれど あひもをしまぬ ももしきを 見ざらむことの なにか悲しき
とありければ、帝御覧じて、そのかたはらに書きつけさせたまうける。
身一つに あらぬばかりを おしなべて 行きめぐりても などか見ざらむ
となむありける。