不可能形
不可能形
「〜できない」という意味を表す、下の3つの不可能形の表現を押さえよう。
- 不可
- 不能
- 不得
漢文を読む上で、否定形の句形はとても重要であるものの、単純否定、禁止形、二重否定、部分否定、全部否定、などなどいろんな親戚がいるので、しっかり頭を整理しておこう。
不可
- 読み方:〜べカラず
- 訳し方:〜できない
これは、可能の助動詞「べし」の未然形+打消の助動詞「ず」であることを見抜けると、不可能を表すことは納得できる。どちらも助動詞なので、書き下すときはひらがなで書く。
また、助動詞「べし」の接続から、直前は終止形(ラ変の場合は連体形) となる。
また、助動詞「べし」が命令の意味になると、「べからず(不可)」は禁止を表す表現になるので、そこは文脈により判断しよう。禁止形の辞書も参照。
発展事項として、「不可」の下に 「勝」 がくる形も押さえておこう。「勝」の読み方としては下の2通りがあり、どちらも 「〜しきれないほど多い」 という意味になる。
不能
- 読み方:〜あたハず
- 訳し方:〜できない
この形はよく出てくるものの、「能」という文字自体は、基本的に「よく」と読む(「〜できる」の意味)。「不」で打ち消される場合のみ、合わせて「あたはず」と読んで不可能の意味になるので、押さえておこう。
直前は連体形、もしくは連体形+「こと」 から返ってくる。
不得
- 読み方:〜ヲえず
- 訳し方:〜できない
上の「能」と違って、「得」の場合には「手に入れる」という本来の意味で「不」とくっつくこともあるので、「不得」の形だからといって、不可能の意味になるとは限らない点に注意しよう。
直前は必ず連体形+「を」 から返ってくる。
補足(二重否定)
これらの不可能形の直前にさらに「不」で打ち消しが入る形もある。この場合は、
-
不可不:ここでの「不可」は禁止の意味でとらえて、「〜しないことがあってはならない」→ 「〜しなければならない」 の意味
-
不能不 / 不得不:「不能」「不得」は上の通り不可能の意味なので、「〜しないことはできない」→ 「〜しないわけにはいかない」 の意味
になるので、合わせて押さえておこう。詳しくは二重否定の辞書で確認しよう。