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アニリンブラック


概要

「アニリンブラック」とは、アニリンに水溶液を加えて得られる黒色沈殿のこと。黒色の顔料としても用いられます。

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アニリンに酸化剤を加えることで、アニリン同士が不規則に繋がって沈殿したものがアニリンブラックです。布にアニリンを染み込ませて水溶液に入れれば、アニリンブラックが繊維に絡まって染色されます。

詳細

生成の仕組み

反応は非常に複雑かつ完全にわかっていない部分もあるため、反応の一例を説明しておきます。

まず、アニリンに酸化剤を加えることで、非共有電子対から電子1個が奪われてラジカルになります。

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そして、このラジカルが別のアニリンに攻撃を仕掛けることで、アニリンがたくさんつながっていきます。

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この反応が連鎖的に起きることで、さまざまな形でアニリンが結合した高分子となります。

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以上のような構造がランダムにつながった構造になるので、アニリンブラックは単一の構造式で表すことはできません。また、高分子になるにはかなりたくさんの反応が起こるので、アニリンブラックの生成はそれなりに時間がかかります。

発色の仕組み

高校物理の原子分野で勉強しますが、物質中の電子は光のエネルギーを吸収することができます。ただし電子のエネルギーにぴったりあった光を吸収するので、物質ごとに赤を吸収するとか紫を吸収するとか違いがあります。

たとえばベンゼンの電子配置では、エネルギーの高い紫外線を吸収します。もしかしたらお肌には嬉しいかもしれませんが(*補足1)、紫外線は目には見えないので発色には関係なく、ベンゼンは透明の液体です。

一方、アニリンブラックは、ベンゼン環やなど二重結合が多い構造をしています。そのため、π結合の電子が非局在化することができ、より電子のエネルギーが低くなります。

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これにより、吸収する光のエネルギーが下がることで、可視光を吸収するようになります。

補足

  • (*補足1)発がん性があるのでお肌には塗らないでください。

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