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状態方程式(化学)


概要

「状態方程式」とは、気体の圧力・体積・物質量・温度などが満たす関係を表す式のこと。特に理想気体では、

の関係がなりたちます(は気体定数)。

高校化学の気体の問題ではほぼ必ずを使う(*注1)ので、使い方をきっちり理解しておきましょう。

詳細

状態方程式

状態方程式は気体の状態量の関係を表す式で、理想気体ではの関係がなりたちます。

歴史的にはまず初めに、温度一定なら圧力が反比例する「ボイルの法則」、圧力一定なら体積と絶対温度が比例する「シャルルの法則」が実験的に示されました。これらと、当時はなかったモルの概念が導入されることで、

がわかり、あとは実際の実験データを用いることで比例定数が、

のように求められ、これを使って、

という関係が導かれました。これによってボイルさん、シャルルさんはお役御免、で全てが事足りる世界になってしまいました。お二人的には寂しいですね(*注2)。

使い方

大学入試の観点から見ると、状態方程式の使い方は主に2つ。

  1. 普通に情報を代入して未知の値を求める
  2. 2つの状態を比較する

です。

  1. 普通に代入するパターン

のうち3つが決まれば、残りの一つも状態方程式から決定します。

状態方程式_1.png

(解答) 体積、温度、物質量がわかっているので、状態方程式から圧力が確定します。圧力をとすると状態方程式より、

(解答終)

  1. 2つの状態を比較するパターン

ピストンを押すなどの変化を与える前後など、2つの状態でそれぞれ状態方程式を使う場合があります。こちらのパターンでは原則、2つの方程式を立て、一定の値に注目して文字を消していきます。具体例で確認しましょう。

状態方程式_2.png

(解答) 圧縮後の圧力をとし、圧縮前後の状態方程式を作る。温度、物質量が一定であることに注意すると、

が一定だから、

(解答終)

一般に、温度と物質量一定で圧力、体積から圧力、体積に変化したとき、

となります。片方の状態の圧力と体積がわかっていれば、もう片方の情報もわかるということになります。

状態方程式_3.png

(解答) 加熱後の体積をとし、加熱前後の状態方程式を作る。圧力、物質量が一定であることに注意すると、

が一定だから、

(解答終)

一般に、圧力と物質量一定で体積、温度から体積、温度に変化したとき、

となります。片方の状態の体積と温度がわかっていれば、もう片方の情報もわかるということになります。

状態方程式_4.png

(解答) 求める圧力をとし、2つの状態について状態方程式を作る。温度が一定であることに注意すると、

が一定だから、

(解答終)

これも一般に考えれば、

となります。実は例題1は「ボイルの法則」、例題2は「シャルルの法則」の問題でしたが、今回は法則として名前はついていません。このように、状態方程式はボイル・シャルルの法則を含むより応用力のある式なので、上の使い方を練習しておくのがいいと思います。

ファンデルワールスの状態方程式

ちなみにの関係が成り立つのは理想気体のときだけです。実在気体では気体の種類によって分子体積や分子間力が異なるため、厳密にはを満たさなくなります。

そんな実在気体の状態を表す方程式の1つが「ファンデルワールスの状態方程式」です。入試レベルで暗記している必要はありませんが、たまに出てくる内容なので興味があればそちらの辞書をチェック!

補足

  • (*注1)に加え、純粋な気体の問題であれば分圧分体積、気液平衡の問題であれば蒸気圧の現象を理解すれば、原理上はほとんどの問題が解けます。
  • (*注2)とはいえ、当時まだ錬金術が少し残っているレベルの世界で、実験によって科学的な法則として導かれたボイルの法則はとても価値があるもの。ボイルはこの功績から「近代化学の父」なんて呼ばれることもあります。そういう科学史的な観点からも重要な法則です。あとシャルルさんはシャルルの法則を使って気球を飛ばしてました。

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