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源氏物語の和歌で古典力アップ!「須磨④」


源氏物語「須磨」の和歌で古典力アップ!

大河ドラマ「光る君へ」で人気沸騰中の『源氏物語』、皆さん全部読んだことありますか?

54帖とかな〜り長い物語なので、一部しか知らない人も多いのでは?

この解説シリーズでは、『源氏物語』に出てくる和歌だけに絞って、単語力の強化や『源氏物語』を読んだ気になれるような解説を行っています。

「須磨」の巻の概要について

12.jpg 出典:国立国会図書館「NDLイメージバンク」

光源氏:26~27歳の頃の話

あらすじ:源氏は、春までは都に滞在していたが、政界追放をなされ、須磨へ自主的に退去した。須磨は侘しさが募った場所であり、其の地で文通市都の女性を思った。都でも源氏のことを偲ぶ人も多く、琴や絵などをするうちに秋冬が過ぎていった。そこで奇妙な夢を見る。

では、早速和歌を通して単語を押さえていきましょう!

小説風の現代語訳は、全て林望『謹訳源氏物語』から引用しています。

海人がつむ なげきのなかに 塩垂れて いつまで須磨の 浦に眺めむ

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  • ****: [現代語訳] とちらでは海士が積むなげきという木のなかに、塩が垂れるように戻を垂らして、いったいいつまで、須磨の浦に住んで物思いに沈んでいることでしょう

荒れまさる 軒のしのぶを 眺めつつ しげくも露の かかる袖かな

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  • ****: [現代語訳] ご一別以来、荒れまさる我が家の軒に、生いまさるばかりの軒忍(ノキシノブ)をながめながら、君をいのぶほどに、その忍草の露のように、わたくしの袖には涙の露がしきりとかかります

恋ひわびて 泣く音にまがふ 浦波は 思ふ方より 風や吹くらむ

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  • ****: [現代語訳] 恋しさに悲観して泣いている声のように聞こえてくるのは、あの浦波の音だ。 さては、私が思いを寄せている人のいるあたりから風が吹いてくるのだろうか

初雁は 恋しき人の 列なれや 旅の空飛ぶ 声の悲しき

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  • ****: [現代語訳] あの初めて渡ってきた雁どもは、我が恋しい人の仲間なのであろうか。 旅の空を飛んでいく声が、ばかに悲しく聞こえるけれど

かきつらね 昔のことぞ 思ほゆる 雁はその世の 友ならねども

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  • ****: [現代語訳] ああして雁が連なって飛んでまいりますように、それからそれへと連なって昔のことが思い出されます。あの雁がその昔の友だというわけでもないのですが

心から 常世を捨てて 鳴く雁を 雲のよそにも 思ひけるかな

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  • ****: [現代語訳] 物好きにも住みやすい常世の世界を自ら捨てて、旅の空に鳴く雁を、昔は雲の外のひとびとだと思っていたが、今になってみれば、それこそ自分の身の上と同じだということを悟ったものよ

常世出でて 旅の空なる 雁がねも 列に遅れぬ ほどぞ慰む

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  • ****: [現代語訳] 常世の国を出て、辛い旅の空に鳴く雁の声。あれはこうしてお供の列に遅れないで随行していることを慰みとして鳴くのであろう。

見るほどぞ しばし慰む めぐりあはむ 月の都は 遥かなれども

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  • ****: [現代語訳] 月を見ている間だけは、すとしの間心が慰められる。月はああして、日々に月々に巡り巡ってゆく。天上の月のような都は遥かに遠いけれど、いつかあの月のように巡り合うとともあるであろう

憂しとのみ ひとへにものは 思ほえで 左右にも 濡るる袖かな

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  • ****: [現代語訳] 帝に対しては、ただひとえに心憂きこととばかり、物思いをすることはできぬ。私は罪も賜ったけれど、この衣のように御恩も賜った。この勤袋の衣の袖は、右と左と、それぞれ憂さと恋しさと、別々に濡れてしまっているのだ

琴の音に 弾きとめらるる 綱手縄 たゆたふ心 君知るらめや

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  • ****: [現代語訳] 君のお弾きになる琴の音に、つい引き止められる船の綱手の縄でございます。その網手の縄がゆらゆらと揺れるように、わたくしの心もゆらゆら揺れておりますのを君はご存じですか

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