概要
「銀鏡反応」とはずばり、銀を析出させることで、還元性を持つアルデヒドを検出する反応のこと。アンモニア性硝酸銀水溶液にアルデヒドを加えて加熱すると、試験管表面に銀が鏡状に張り付きます。とてもインスタ映えする反応です。

本質的な部分だけ取り出すと、ホルミル基が還元剤、イオン化傾向が小さく電子を受け取りやすい銀イオンが酸化剤として働いています。
後者は塩基性条件の反応ですが、はに対して沈澱を作ってしまいます。そこでアンモニアを使うことで、銀イオンをの形で水溶液中に残しながら塩基性にしています。
詳細
ホルミル基は、塩基性条件下で酸化されやすい(=還元剤になりやすい)です。カルボニル基では、電気陰性度の大きい酸素が電子対を引っ張って、炭素が少しプラスになります。そこにがぶつかります。

ここに酸化剤がやってきて、の結合から電子を奪い取ることでカルボン酸になります。

以上の性質を利用し、塩基性下でイオン化傾向が小さい銀イオンを酸化剤として働かせるのが銀鏡反応です。
ただし、は塩基性で不溶性の沈澱を作ってしまいます。そこで、アンモニアを使って塩基性にすることで、銀イオンをとして水溶液中に残すことができます。よって銀鏡反応では、硝酸銀水溶液にアンモニアを吸収させた 「アンモニア性硝酸銀水溶液」 を利用します。
以上を踏まえて、銀鏡反応の半反応式は以下のようになります(*補足1)。塩基性条件なので、発生するカルボン酸は塩になっていることに注意です。
補足
- (*補足1)半反応式は、反応物と生成物のペアを覚えていれば作れます。詳しくは半反応式の辞書をチェック!