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日本文学史マスターへの道㉘


日本文学史マスターへの道

『栄花物語』

Eigamonogata.JPG 〔13世紀(鎌倉時代前期)書写の最古写本「梅沢本」(国宝、九州国立博物館蔵)〕

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《確認ポイント》

✔︎歴史物語

✔︎藤原道長の栄華       ✔︎『大鏡』との関連

《書名》

『栄花物語』

《作者》

未詳だが、

正編は藤原道長の妻倫子と娘彰子に仕えた赤染衛門、

続編は道長の娘威子に仕えた出羽弁と推測される。

多くの女房が書いたという説もある。

《成立過程》

正編は長元2(1029)年から長元6(1033)年の間ごろ、

続編は寛治6(1092)年ごろに成立したと考えられる。

《内容》

正編30巻、続編10巻から構成され、

六国史の最後にあたる『日本三代実録』の後を引き継ぎ、

第59代宇多天皇から第73代堀川天皇までの15代200年ほどの歴史をできごとを

年代順に示す編年体で記したもの。

藤原道長の栄華を賛美し、

平安貴族の生活を宮廷や高級に焦点を当て描く。

『大鏡』のような批判性はなく、

感傷性があり、文学史物語という性格がある。

《表現技法》

『源氏物語』の影響から和文体で書かれている。

《史的意義》

漢文の史書ではなく、

仮名文字を使い物語風に仕立てた史書であり、

文学の先駆けとなった。

また、女性による歴史叙述は初である。

《『栄花物語』冒頭》

世はじまりてのち、

このくにのみかど六十よ代にならせ給にけれど、

このしだいかきつくすべきにあらず。

こちよりてのことをぞしるすべき。

よの中に、うだのみかどと申おはしましけり。

そのみかど御子たちあまたおはしましける中に、

一のみこあつきみのしんわうと申けるぞ、

くらゐにつかせ給けるこそは、

だいごのせいていと申て、

よの中あめのしためでたきためしにひきたてまつるなれ。

くらゐにつかせ給て、卅三年をたもたせ給ひけるに、

おほくのにようごたちさぶらひ給ければ、

おとこみこ十六人、

をんなみこあまたおはしましけり。

そのころの太じやう大じんもとつねのおとゞときこえけるは、

うだのみかどのおほんときうせ給ける。

中なごん長良ときこえけるは、

太じやう大じん冬嗣の御太郎にぞおはしける、

のちは贈太政大臣とぞきこえける、

かの御三郎にぞおはしける、そのもとつねのおとゞうせ給て、

のちの御謚昭宣公ときこえけり。

そのもとつねのおとゞ、おとこぎみ四人おはしけり。

太郎はときひらときこえけり。

さ大じんまでなり給て、卅九にてうせ給にけり。

二郎仲平ときこえけり。

さだいじんまでなり給て、七十一にてうせ給にけり。

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