源氏物語の和歌で古典力アップ!「夕顔②」
源氏物語の和歌で古典力アップ!
大河ドラマ「光る君へ」で人気沸騰中の『源氏物語』、皆さん全部読んだことありますか?
54帖とかな〜り長い物語なので、一部しか知らない人も多いのでは?
このサイトは、『源氏物語』に出てくる和歌だけに絞って、単語力の強化や『源氏物語』が読んだ気になれるような感覚を持つために作成しました。
【このサイトを特におすすめする人】
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受験生で古典単語が全然わからない人
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受験生で和歌が全然わからない人
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『源氏物語』を軽〜く知りたい人
では、早速学びスタート!
34 夕露に 紐とく花は 玉鉾の たよりに見えし 縁にこそありけれ
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[現代語訳]
あの日、夕露に紐を解いて咲き初めた花。あれこそが頼りにできる私たちの縁でありましたね。…いまあの時の花のように、紐を解いて顔をお見せしましょう
by林望『謹訳源氏物語』
35 光ありと 見し夕顔の うは露は たそかれ時の そら目なりけり
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[現代語訳]
あの夕顔の花に置いていた露の光、ああ輝いていたなあと思ったのは、たそがれどきゆえのとんだ見損ないでございました
by林望『謹訳源氏物語』
36 見し人の 煙を雲と 眺むれば 夕べの空も むつましきかな
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[現代語訳]
契りを結んだ人を野辺に送る煙が、ああやって雲になったのだと思って見ると、夕方の空も私には心親しいものに思われる
by林望『謹訳源氏物語』
37 問はぬをも などかと問はで ほどふるに いかばかりかは 思ひ乱るる
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[現代語訳]
お尋ねできませんでした。けれども、どうして音をせぬのかとお尋ねくださることもなく、もうずいぶん時間が経ってしまいましたので、私は、どれほど思い乱れていることでございましょうか
by林望『謹訳源氏物語』
38 空蝉の 世は憂きものと 知りにしを また言の葉に かかる命よ
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[現代語訳]
蝉の抜け殻のようにうつろなこの世、それは辛いものだと私は、あなたとのことで思い知りました。なのに、またこのようなお言葉を頂戴して、これよりはこのお気持ちを頼りに生きてまいりましょう
by林望『謹訳源氏物語』
39 ほのかにも 軒端の荻を 結ばずは 露のかことを 何にかけまし
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[現代語訳]
夢のようにほのかな一夜の契りでしたが、あの軒端の荻とご縁を結ばなかったとしたら、ほんの露ばかりの恨み言だって、何にかこつけて言うことがありましょうか。 私はあなたと、ああして契ったからこそ、恨み言の一つも申したいのですよ
by林望『謹訳源氏物語』
40 ほのめかす 風につけても 下荻の 半ばは霜に むすぼほれつ
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[現代語訳]
あの夢のようにほのかな逢瀬を仄めかす風の便りにつけても、荻の下葉のような下々の身のわたくしには、半ば嬉しく思いながら、半ばは霜に当たって弱るように、物思いに鬱ぎこんでおります
by林望『謹訳源氏物語』
41 泣く泣くも 今日は我が結ふ 下紐を いづれの世にか とけて見るべき
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[現代語訳]
生きていた頃に二人で結ぶことなく、今日という日に泣きながら私が独りで結ぶことになった袴の下紐を、この先、なんど生まれ変わったら、二人で解きあって睦みあうことができるのだろう
by林望『謹訳源氏物語』
[ヒトコト解説]
42 逢ふまでの 形見ばかりと 見しほどに ひたすら袖の 朽ちにけるかな
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[現代語訳]
また逢う日までの、あなたの形見にと思ってお預かりしておりましたが、いつもあなたを思って泣いておりましたほどに、この小桂の袖も涙ですっかりちてしまいました
by林望『謹訳源氏物語』
[ヒトコト解説]
43 蝉の羽も たちかへてける 夏衣 かへすを見ても ねは泣かれけり
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[現代語訳]
蟬の羽のような薄い夏の衣も、すっかり裁ち替えて冬の衣にいたしました今ごろに、あの夏の衣をお返しくださるのを見ては、思わず蟬のように声高く泣けてしまいました
by林望『謹訳源氏物語』
[ヒトコト解説]
44 過ぎにしも 今日別るるも 二道に 行く方知らぬ 秋の暮かな
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[現代語訳]
亡くなってしまった人も、いま生き別れて行く人も、生死二つの道こそ違え、どこへ行ってしまうのか分からない、寂しい寂しい秋の暮れよな
by林望『謹訳源氏物語』
「夕顔」の巻について
出典:国立国会図書館「NDLイメージバンク」
光源氏:17歳の夏から秋頃の話
あらすじ:夕顔の花咲く家に心惹かれ、その家の女君に関心をもち、素性を隠し交際をスタートさせる。ただ、その女君は物怪に取り憑かれ死んでしまう。頭中将の愛人であったことをその後知ることになった。