否定の倒置
ギョッとする英文
英語の長文を読んでいると、こんな文に出くわします。
Never does he tell a joke.
え、いきなり主語じゃないやつ出てきてるし、なんか does とかあるし、意味わからん。と思いますよね。
これは実は否定の倒置というものが起こっていて、意味わからんぶん、英文和訳でとてもよく出てくるんです。丁寧に見ていきましょう!
元の文はこれです。これなら訳せますよね。
He never tells a joke.
(彼は決してジョークを言わない)
ここで、話し手が否定の意味を強調したいときには、否定語を前に出すことができます。でも、
Never he tells a joke.
としてしまうと、Never が he を否定しているように見えて、意味がよくわかりません。あくまでも、「言う」という部分を否定したいので、Never の後を疑問文の語順にします。
Never does he tell a joke.
これで、Never が does を否定して、見やすくなりました!
こんな感じで、強調のために否定語を前に出して、後ろを疑問文の語順にする表現を、否定の倒置と言います。
完全な否定語だけではない!only に注意
否定語と書きましたが、否定的な意味を持つものについては広くこの表現が使えます。例えば
- seldom(滅多に〜ない)
- hardly(ほとんど〜ない)
- scarcely(ほとんど〜ない)
- only(〜にだけ)
などなどです。only だけ異色ですよね。
Only after a long discussion have we agreed to the plan.
(長い議論のあとにやっと、計画に合意した)
という感じで否定の倒置が起こるのですが、これは、only の意味として、他の選択肢を全て否定していると捉えられるからなのです。
この文でも、長い議論がなければ合意していなかった、という意味を暗に含んでいますよね。
参考までに、倒置する前の元の文章はこれです。
We have agreed to the plan only after a long discussion.
その他の表現
これまで見てきたものはまだ見抜きやすいですが、否定語による節がまるごと前に出てきたり、他の構文を混ざったりすると、一気に見抜く難易度が上がります。
和訳問題を得意にするためにも、下の例文をぜひ押さえておきましょう!
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Not until the rain stopped could we see Mt.Fuji clearly.
(雨が止んで初めて、富士山が綺麗に見えた)
← 元の文は、
We could not see Mt.Fuji clearly until the rain stopped.
で、not + until the rain stopped の節がまるごと前に出た倒置文です。「雨が止むまで見られなかった」ということで、こういう訳になります。
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Not only does she write novels but also draws beautiful pictures.
(彼女は小説を書くだけではなく、美しい絵も描く)
← 元の文は、
She does not only write novels but also draws beautiful pictures.
で、おなじみの not only A but (also) B(A だけでなく B もまた) の not only が前に出て倒置が起きた文です。