平家物語の和歌で古典力アップ!「巻四」
平家物語の和歌で古典力アップ!
『源氏物語』はなんとなく知っているけれど、『平家物語』はさっぱりわからないのでは?
源氏と平氏は、源平合戦で対立するものという認識があるでしょうか?
『平家物語』は軍記物語呼ばれ、合戦を描いています。
『源氏物語』とは一味違う世界をしてみてはいかが?
このサイトは、『平家物語』に出てくる和歌だけに絞って、単語力の強化や『平家物語』が読んだ気になれるような感覚を持つために作成しました。
【このサイトを特におすすめする人】
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受験生で古典単語が全然わからない人
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受験生で和歌が全然わからない人
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『平家物語』を軽〜く知りたい人
では、早速学びスタート!
16 雲居より 落ちくる滝の 白糸に 契りを結ぶ 事ぞうれしき
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[現代語訳]
雲の居る天上から落ちてくる滝水の白糸に、こうして契りを結ぶことのなんと嬉しいことか…九重の雲の上から、降りて来てくださった滝水のように清らかな君とご縁を結ぶことのなんと嬉しいことか
by林望『謹訳平家物語』
17 立ち帰る 名残もありの 浦なれば 神も恵を かくるしら波
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[現代語訳]
こうして立ち帰るほど、名残も有りますの浦でございますから、さぞ神もめぐみをかけることでありましょう、寄せては返る白浪をかけるように
by林望『謹訳平家物語』
18 千年へむ 君が齢に 藤波の 松の枝にも かかりぬるかな
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[現代語訳]
千年もの長寿を保たれる我が君のお齢にあやかりまして、この藤の花の波は松の枝に掛かっているのでありますなあ…そのようにわが藤原の家の者も我が君に命をおあずけしているのでございます
by林望『謹訳平家物語』
19 しらなみの 衣の袖を しぼりつゝ 君ゆへにこそ 立ちもまはれね
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[現代語訳]
あなたさまが波のように帰っておしまいになって、わたくしは、涙で濡れた白波のように白い衣の袖を絞り絞りしておりますほどに、立ってその袖を翻して舞おうにも舞うことができませぬ...それもこれもあなたさまのせいです
by林望『謹訳平家物語』
20 おもひやれ 君が面かげ たつ浪の よせくるたびに ぬるゝたもとを
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[現代語訳]
どうか思いやっておくれ、そなたの面影が立つと見える、この立つ波が寄せてくるたびに、私は旅してゆかなくてはならぬ、その別れに泣いて濡れる我が袂を…
by林望『謹訳平家物語』
21 恋しくば 来ても見よかし 身にそふる かげをばいかが はなちやるべき
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[現代語訳]
そんなに恋しいなら、そちらから来て見ればよかろうに。我が身離れぬ影のごときこの鹿毛(かげ)の駒を、どうして無理に離して遣わすことができるものであろうか
by林望『謹訳平家物語』
22 山法師 おりのべ衣 うすくして 恥をばえこそ かくさざりけれ
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[現代語訳]
山法師の連中は、配られた織り延べ衣があまりに薄いので、それを取り合って揉めに揉めた恥をば、なんとしても隠すことができなかったな
by林望『謹訳平家物語』
23 おりのべを 一きれも得ぬ 我らさへ うす恥をかく 数に入るかな
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[現代語訳]
あの織り延べ絹を、ただの一切れすら貰えなかった俺だというのに、そんな俺までが、薄い絹を取り合うという薄ら恥かきどものなかに数え入れられてしまったこと じゃ
by林望『謹訳平家物語』
24 伊勢武者は みなひをどしの 鎧着て 宇治の網代に 懸かりぬるかな
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[現代語訳]
伊勢の武者は、みんな緋縅(ひおどし)の鎧を着て、ああして氷魚(ひお)さながらに宇治の網代にひっかかっておるわ
by林望『謹訳平家物語』
25 埋もれ木の 花さくことも なかりしに 身のなる果てぞ 悲しかりける
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[現代語訳]
埋れ木のような我が身には、ついに花の咲くこともなかったが、それでも実のなることがあろうとは…このように身のなる果ては、哀しいことであったよな
by林望『謹訳平家物語』
26 人知れず 大内山の 山守は 木隠れてのみ 月を見るかな
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[現代語訳]
大内山の山守…・内裏の守護役をいたしておりますわたくしは、誰に知られることもなく、ただその山の木陰から、そっと月のような我が君を見上げております
by林望『謹訳平家物語』
27 のぼるべき たよりなき身は 木の本に しゐを拾ひて 世を渡るかな
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[現代語訳]
これより上の位に昇るべきよすがもない我が身は、ただ木の下で椎を拾って…四位の身分のままで…世を渡っているのでございます
by林望『謹訳平家物語』