源氏物語の和歌で古典力アップ!「蜻蛉」
源氏物語の和歌で古典力アップ!
大河ドラマ「光る君へ」で人気沸騰中の『源氏物語』、皆さん全部読んだことありますか?
54帖とかな〜り長い物語なので、一部しか知らない人も多いのでは?
このサイトは、『源氏物語』に出てくる和歌だけに絞って、単語力の強化や『源氏物語』が読んだ気になれるような感覚を持つために作成しました。
【このサイトを特におすすめする人】
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受験生で古典単語が全然わからない人
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受験生で和歌が全然わからない人
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『源氏物語』を軽〜く知りたい人
では、早速学びスタート!
756 忍び音や 君も泣くらむ かひもなき 死出の田長に 心通はば
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[現代語訳]
季節柄、時鳥もまだ声を忍ばせて、シデハタラサ、シデハタオカ、と鳴いて渡りましたが、それを聞いて、あなたも声を忍ばせて泣いておられることでしょうね。どんなに泣いたとてなんの甲斐もない、あの死出の道に出で立ってしまった人に、心を通わせておいでだとしたら…
by林望『謹訳源氏物語』
757 橘の 薫るあたりは ほととぎす 心してこそ 鳴くべかりけれ
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[現代語訳]
橋の香るあたりでは、時も、もしや昔の人を偲んで鳴くのではないかと疑われるかもしれねゆえ、心して鳴くべきところであろうに
by林望『謹訳源氏物語』
758 我もまた 憂き古里を 荒れはてば 誰れ宿り木の 蔭をしのばむ
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[現代語訳]
これより、私までがこの辛い思いの残る旧地から離(あ)れはてて、荒(あ)れるに任せたならば、だれがいったい昔よく宿としたこの木の蔭を思い出すことであろう
by林望『謹訳源氏物語』
759 あはれ知る 心は人に おくれねど 数ならぬ身に 消えつつぞ経る
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[現代語訳]
人の哀しみを知る心は決して他の人に後れを取りはしませぬが、でもわたくしは物の数でもないような身分の者ゆえ、お悔やみを申すような差し出たまねはいたしませず、ただ、その哀しみに命も消えるばかりの思いで時を過ごしております…
by林望『謹訳源氏物語』
760 常なしと ここら世を見る 憂き身だに 人の知るまで 嘆きやはする
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[現代語訳]
現し世はみな無常なものと、もう幾度も思い知らされてきた辛い身だということを、しかし人に気づかれるほどに嘆きなどしただろうか…そんなことのないように、うわべは平静にしてきたつもりだが、よく私の心を推し量ってくれたね
by林望『謹訳源氏物語』
761 荻の葉に 露吹き結ぶ 秋風も 夕べぞわきて 身にはしみける
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[現代語訳]
荻の葉に露を吹き結ばせる秋風も、こんな夕べにはとりわけ身にしみて感じられる
by林望『謹訳源氏物語』
762 女郎花 乱るる野辺に 混じるとも 露のあだ名を 我にかけめや
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[現代語訳]
女郎花の咲き乱れている野辺のような、この華やかな女房がたが集うておられるところに立ち入ったとしても、露(つゆ)に濡れた移り気な男だなどという評判を、つめ負わせることができましょうか…根っから美男の私ですのに
by林望『謹訳源氏物語』
763 花といへば 名こそあだなれ 女郎花 なべての露に 乱れやはする
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[現代語訳]
花といえば、女郎花なんて名前からして移り気な感じですが、だからといって、どんな露にも簡単に靡き乱れるものでしょうか…女郎花にも矜持がございますほどに、そう誰にでも靡きはいたしませぬ
by林望『謹訳源氏物語』
764 旅寝して なほこころみよ 女郎花 盛りの色に 移り移らず
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[現代語訳]
さようにむさいことを仰せにならずと、まずはとの花園のような女たちのなかにお泊まりになってみて、それでも女郎花のさかりの色に染まるか染まらぬか、試みてくださいませよ
by林望『謹訳源氏物語』
765 宿貸さば 一夜は寝なむ おほかたの 花に移らぬ 心なりとも
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[現代語訳]
もしお宿を貸してくださるのなら、よろしい、一夜は寝ることにしましょう。たいていの花には心を移さぬ私の心でありますが…
by林望『謹訳源氏物語』
766 ありと見て 手にはとられず 見ればまた 行方も知らず 消えし蜻蛉
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[現代語訳]
ここにいる、と思っても手に捕らえることはできず、じっと見ていると、いつの間にかどこへ行ったか分からぬように消えてしまう蜻蛉よ
by林望『謹訳源氏物語』
「蜻蛉」の巻について
薫:27歳の頃の話
あらすじ:宇治の屋敷で、浮舟が入水自殺したと思われ、悲嘆に暮れた。浮き舟を偲び、薫は宇治に行き、浮舟の弟らの世話をする。女一宮へ憧れから、妻に真似をさせるなどした。
出典:国立国会図書館「NDLイメージバンク」