日本文学史マスターへの道㉑
日本文学史マスターへの道
『和泉式部日記』
日記文学の中では多くの書籍があるわけではないけれど、
このページを見て興味があったら
検索したり本屋に行ったりしてみて!
《確認ポイント》
✔︎和泉式部
✔︎贈答歌
《書名》
『和泉式部日記』
または、『和泉式部物語』
《作者》
和泉式部
ただし和泉式部が三人称「女」で描かれるため
他作の可能性の説もある!
和泉式部は、情感豊かな歌を詠む優れた歌人で家集『和泉式部集』がある。
橘道貞と結婚して、小式部を産み、
弾正宮為尊親王・帥宮敦道親王の愛人となり、
両親王の死後は中宮彰子に仕え、藤原保昌と再婚。
〔菊池容斎『前賢故実』より〕
《成立過程》
和泉式部作であるとすると、敦道親王の没年である寛弘4(1007)年10月以降に、追慕の念から執筆したと考えられる。
《内容》
長保5(1003)年4月から翌年1月にかけて敦道親王との恋愛を物語風に綴ったもので、
140ほどの贈答歌を中心として身分差関係なく純粋な恋愛が描かれる。
《史的意義》
女流日記の中でも特出した贈答歌が多い。
贈答歌が話の核となり、
地の文と呼応することで恋愛心理の複雑さを展開させており、
鮮やかな描写が特色。
《『和泉式部日記』冒頭》
夢よりもはかなき世の中を、
嘆きわびつつ明かし暮すほどに、
四月十余日にもなりぬれば、木の下暗がりもてゆく。
築地の上の草あをやかなるも、
人はことに目もとどめぬを、あはれとながむるほどに、
近き透垣のもとに人のけはひすれば、誰ならむと思ふほどに、
さし出でたるを見れば、
故宮にさぶらひし小舎人童なりけり。