穀物メジャー
穀物メジャー
石油大手7社の通称である「メジャー」をもじってできた呼称ですが、受験生には穀物メジャーの方が有名かもしれませんね(順序としても穀物メジャーを先に習いますし)。
穀物メジャーは、ただの農業関連の会社ではありません。ただ大きいだけでもありません。日本の農協とも違います。形態としては、むしろ伊◯忠や◯紅などと言った商社に近いものがあります。
穀物メジャーは、穀物の販売だけではなく、穀物の集荷・保管・輸送・販売を全て行い、世界の穀物市場を支配する巨大勢力です。世界で販売されている穀物の約8割を取り扱っており、人間の生存に不可欠である食を支配しているという点で世界の裏ボス的存在とも言えるかもしれません。
穀物メジャーがやっていること
端的に言えば、全部!
……というわけにもいかないので説明すると、「(穀物の)ゆりかごから墓場まで」、つまり「種から食卓まで」、穀物に関すること全てを取り扱っているのです。
農家の立場になって考えてみましょう。
農家は作物を育てようと思うと、まず種を買う必要があります。そんな時、穀物メジャーの営業マンがやってきてこう言うのです。
「良い小麦の種がありましてね旦那、ちと高ェンですが、新しく開発された遺伝子組み換えのヤツで、これを食べた害虫はすぐにお陀仏、雑草も生えず、終いにゃ収穫量が倍になる魔法の種でさァ」
そんな種、農家は欲しいに決まっています。殺虫剤や除草剤を散布する手間が省け、収量も増えるのですから収入も増えるでしょう。
ところが農家のおじいさんは貧乏で、そんな高い種を買うお金はありません。これでは種は買えない、欲しいんだけど、う~ん…
「旦那忘れたんスか、うちは金貸しもやってまっせ、特別に利子はまけとくんで」
渡りに船とばかりにおじいさんは穀物メジャーからお金を借り、種を買うことに成功しました。担保はおじいさんの持っている土地です。
さてその種、穀物メジャーから農薬や肥料をほんの少しだけ買う必要がありましたが、順調に育ち見事に大豊作です。
農家のおじいさんは大儲け、無事借金を完済しほくほく顔です。大量に収穫した小麦は穀物メジャーのトラックが持って行ってくれました。あとは販売代金を穀物メジャーからもらうだけです。
穀物メジャーは各農家から収穫した穀物を回収・貯蔵し、鉄道や船舶を用いてアメリカ各地の市場、ひいては世界中に運んでいきます。
あなたの食べているパンも、もしかしたらおじいさんの小麦から作られているかもしれませんね。
めでたしめでたし。
つまり…
つまるところ、穀物メジャーの手がける事業というのは、
- 種子の開発・販売
- 農薬の開発・販売
- 肥料の開発・販売
- 農業機械の開発・販売
- 金融
- 農作物の回収・輸送・貯蔵
- 農作物の販売
- 食品加工
などなど、本当に多方面にわたります。農家、ひいては農業の経済活動に関わること全てを取り仕切っているのが穀物メジャーなのです。