誘起効果
概要
「誘起効果」とは、分子やイオン内の原子が、電子を引っ張ったりする効果のこと。電気陰性度の違いによって生じ、誘起効果の結果として分極が生じます。
誘起効果はσ結合に対する効果で、共鳴効果がπ結合に対する効果です。原則、誘起効果より共鳴効果の影響の方が大きいので、同時に起こる場合は共鳴効果の結果が表に出てくることが多いです。
詳細
影響範囲
誘起効果はσ結合に対する効果で、その影響範囲は限定的です。ざっくり、結合2つ分程度までしか誘起効果の影響はありません。たとえば、ヨードホルム反応はカルボニル基に炭素が1個の場合に起こり、炭素が2個以上では起こりません。
酸性度への影響
酢酸に、電気陰性度の大きい塩素
塩素が電子を引っ張った結果、電離後の-
配向性への影響
ニトロ基-
また、クロロ基-
以上のように、配向性にも一部誘起効果の影響が表れます。
補足
- (*補足1)カルボン酸の
は、電子が非局在化することで安定化しています。誘起効果でその電子が引っ張られ、より広い空間で非局在化できるようになるイメージです。
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