【 note : https://note.com/yaguchihappy 】
異種の生物同士の関わり合い(異種の個体群間の相互作用:共生[相利共生・片利共生]・寄生・種間競争)について講義します。
*この分野は、ぜひ、資料集等で図を見ながら(または実際に生物を見ながら)学んでみてください。
*片利共生は本当に片利共生なのかについては、まだよくわかっていないことが多い。実は、よく研究してみたら、お互いに利益のある相利共生であった、ということがよくある。
*資源が豊富にあれば、一般に、競争はほとんどおきない。たとえ同じ食物の種類を資源とする2種がいたとしても、その食物が豊富にあるなら、競争は起きない(たとえば、広い草原に、豊富に草本が存在する場合、2種の草食動物は、競争することなく生活する[そのような関係は、中立という。いずれの種にも利益も害もない。板書のような記号を使うと、0、0の関係])。
●群集(自然界にみられる「異種」の生物の集まり)や個体群(ある空間を占める「同種」個体の集まり)においてみられる、生物間の相互関係を「相互作用(そうごさよう)」という。
●共生:共存する異種の生物間において、互いに、または一方が利益を受けている関係。相利(そうり)共生と片利(へんり)共生がある。
① 相利共生:互いに利益を受ける場合。
例 )マメ科植物は根粒菌に光合成産物を与え、根粒菌はマメ科植物に窒素固定して得た窒素化合物を与える。アリはアブラムシから分泌物(糖を含む)をもらい、代わりにアブラムシを守る。サンゴ虫は藻類に住処を提供し、藻類はサンゴ虫に光合成産物を提供する。
*アブラムシは、師管の中を流れる師管液を摂取する。師管液には、糖が大量に含まれている。対して、成長に必要な一部のアミノ酸は少量しか含まれていないため、アブラムシは、大量の師管液を摂取している。その際、高濃度で糖を含む排泄物(甘露と呼ばれる)を分泌する。
*イソギンチャクとクマノミにも相利共生の関係が見られる。イソギンチャクはクマノミを捕食者から守り、クマノミはイソギンチャクの触手を捕食する魚類を追い払う。また、クマノミが、イソギンチャクのために餌を運んでいることが明らかになっている(まるで家賃を支払っているようである)。
*動物(昆虫など)によって送粉される(被子植物の)花の大多数は、訪れる動物への報酬として蜜や花粉、あるいはその両方を提供している(送粉者となる昆虫などの動物と、蜜などを提供する被子植物の相利共生)。
*ヒトの農業も相利共生と見なすことができる(教科書で扱われていないので入試では書かない方が良いが)。オオムギ、トウモロコシ、イネなどの植物の個体数は、ヒトに栽培されていなかった場合の個体数を、大きく上回っていると考えられている。一方、これらの植物がヒトの人口増加に寄与しているのは言うまでもない。
*根粒菌はマメ科植物と共生しているときのみ窒素固定を行う。
*マメ科植物は化学物質を分泌し、根粒菌を誘引する。根粒菌は根毛から侵入する。根粒菌は周辺の細胞を刺激して体細胞分裂を起こさせ、根粒が形成される。
*窒素が不足している土壌では、マメ科植物は他種より圧倒的に有利である。一方、窒素源がもともと豊富な土壌中では、マメ科植物は根粒菌との共生を行わないことが知られている(根粒菌にアンモニアを貰う必要がないので、光合成産物を根粒菌に渡すのは無駄である。そのような窒素の豊富な土壌では、むしろ、根粒菌は、根に寄生する邪魔な存在である。ほとんどの場合、自然界において、マメ科植物が優占種になれないのはこのためであると考えられている)。
② 片利共生:一方のみが利益を受け、他方は利益も不利益も受けない場合。
例 )カクレウオはフジナマコの体内に隠れる。コバンザメはサメやエイに付着して保護を受け、食べ物のおこぼれをもらう。
●寄生:一方が利益を受ける生物(寄生者)、他方が不利益を受ける生物(宿主)となる関係。
例)カイチュウ(ヒトの腸に寄生)、ヤドリギ(寄生植物で、サクラなどの枝に寄生)、ナンバンギセル(寄生植物で、ススキなどの根に寄生)
*ヤドリギは、ケヤキやエノキ、サクラなどの落葉広葉樹に寄生する常緑低木。ヤドリギは自身でも光合成を行うため、寄生ではなく、半寄生と呼ばれることもある。
*ヤドリギなどの寄生植物は、生きた宿主から、水、無機栄養、時には光合成産物を吸収する(寄生植物は、吸器と呼ばれる器官を用いて宿主に侵入し、宿主植物の維管束と連結する。そうすることで宿主から栄養を奪う)。中には、光合成を行わない寄生植物もある。
*食う-食われるの関係も、捕食者が+(利益を得る)、被食者がー(不利益を被る)関係となる。一部の寄生(たとえばモンシロチョウに寄生するコマユバチ[寄生バチであるコマユバチは、モンシロチョウの幼虫に卵を産み付け、コマユバチの幼虫は、モンシロチョウの幼虫を食べる])は、食う-食われるの関係と見なすこともできる(知らなくてよいが、コマユバチのような寄生バチなどの寄生性昆虫のように、発育を終えるのに必要な栄養を摂取した後、宿主を殺してしまう寄生者を、捕食寄生者という。真の寄生者と捕食者の中間の性質をもつ)。
●中立:互いに利害関係にない。
例 )ダチョウとシマウマ
●片害(へんがい)作用:ある生物の分泌物などが、他の生物に不利益をもたらすこと。
例 )セイタカアワダチソウの他感作用(たかんさよう。アレロパシーともいう)・・・他の植物の成長を抑制する物質を分泌する。
*他感作用(アレロパシー):一つの生物、特に植物が隣接して生活している競争者に負の影響を与える現象。
●種間競争が起こる場合、一般に、競争する2種は、互いに損害を受ける。
例)ヒメゾウリムシとゾウリムシ(どちらも細菌を捕食する。なお、同じ容器で、条件を整えて実験すると、やがて、ゾウリムシは絶滅し、ヒメゾウリムシのみが大きく増殖するようになる)、イワナとヤマメ、ヒメウとカワウ、ソバ(タデ科の植物)とヤエナリ(マメ科の植物)
*たとえば、同じエサを捕食する種Aと種Bの間の種間競争を考える。種Aが、エサをたくさん食べれば、エサの密度が減り、種Bに対して負の効果が及ぶ。種Bがエサをたくさん食べても同様に種Aに負の効果が及ぶ。
*競争には、種内で起こる種内競争と、種間で起こる種間競争がある。
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