東京の空はアメリカの物!?横田空域について
皆さん、こんにちは。
日本中どこでも、私たちが空を見上げると、当たり前のように広がる空が目に入ります。
そして「この空はどこの国の空?」と尋ねられれば、「この空は日本の空だ」と答える方がほとんどだと思います。
しかし実は、日本国内の一部地域において、その空は「日本のものではない」というのが現実です。
今回は、その象徴的な存在である「横田空域」について紹介していきます。
横田空域とは
横田空域とは、正式には「横田ラプコン(Yokota RAPCON)」と呼ばれる空域のことです。
この空域は東京都福生市にある米空軍・横田基地が管制権を持つ空域で、日本国内に位置するのにも関わらず米軍が航空管制を行っています。
この制度は、第2次世界大戦後の連合国による占領、そしてその後の朝鮮戦争などを受けて、アメリカ軍の防衛戦略の一環として設定されたものです。
横田空域は東京都を中心に、埼玉県、山梨県、群馬県、長野県、静岡県に広がっており、極めて広大な空域となっています。
(六本木ヒルズから見た西方面の空。この空にも横田空域は含まれている。)
(六本木ヒルズにて著者が撮影)
日本の航空機は入れない?他国による空域支配の異常性
この横田空域内では、日本の民間航空機が自由に飛行することができません。
なぜなら、そこは日本の領空でありながら、米軍が管制を行っている空だからです。
ただそもそも、皆さんに考えていただきたいのは、「日本の首都・東京の上空を外国軍が管制している」という異常な事態についてです。
日本は第2次世界大戦で敗戦国となりましたが、1951年にはサンフランシスコ平和条約を締結し、翌1952年には連合国軍による占領は終了しています。
そして日米は同盟国であり、日本は独立国家です。
にもかかわらず、日本の首都の空域が今なお、米軍によって管理されているというのは、極めて異常な状態です。
世界を見渡しても、自国の首都上空を他国の軍が継続的に管制している独立国家は、ほとんど存在しません。
横田空域が与える実際の影響
こうした異常な空域支配は、私たちの日常生活に直接的な不便を与えることは少ないかもしれません。とはいえ、飛行機を利用する方には大きな影響が出ています。
特に深刻なのが、羽田空港を発着する民間航空機への影響です。
羽田空港は東京都に位置していますが、横田空域の制約のため、飛行機は大きな迂回を強いられています。
たとえば大阪方面から羽田に向かう便は、房総半島上空を通過し、東京湾を大きく回り込んで着陸するという遠回りのルートをとることが一般的です。
このため、飛行時間は余分にかかり、燃料コストも増加。さらに、環境負荷も大きくなります。
私自身も住んでいる西日本から東京方面に向かう際によく飛行機を利用しますが、横田空域を迂回するためにとんでもなく遠回りしていることを、地図アプリで実感しています。
(西日本方面から羽田空港に向かう際に赤線が横田空域の影響で遠回りしている現在の飛行ルート。青線が本来理想に近い飛行ルート。それぞれのイメージ)
(国土地理院のデータを元に著者が編集)
徐々に進む返還の動き
実はこの横田空域、一部では返還が進んでいます。
特に2008年の一部空域の返還、さらに2020年には都心を通る新ルートの運用開始に伴い、時間帯や高度を限定した運用ではありますが、日本の航空機が一部空域を通過できるようになりました。
しかし、それでもなお首都圏上空の広大な空域がアメリカの管制下に置かれているという事実は、看過できるものではありません。
(横田空域を避けるために迂回をする飛行機)
(東京都新島村付近の上空にて著者が撮影)
米軍駐留と空域支配は別の問題
もちろん、米軍の駐留と自衛隊の活躍によって東アジアの平和と日本の安全が守られていることは事実です。
しかし、米軍が日本に駐留することと、東京上空の空域を米軍が支配することは、まったく別の話です。
私たち日本は独立国家であり、空域を管理する主権を持っています。
最後まで読んでいただきありがとうございました。